当地の牧場は家族経営で多くは100頭程度の飼育をしているのですが、その時は300頭程度を飼っているやや大きめの牧場にお邪魔しました。従業員も2名雇っているようです。
搾乳場や妊娠中の牛さん、子牛(1-2週程度)などの専用スペース、冬用の庁舎などを見た後、いざ放牧の現場へ。歩けども歩けども、だだっ広い草草草。相当広いです。放牧するという事は草を食べるという事ですので、同じところに放つと草を食べきってしまう事となります。したがって多くの区画があり、毎日のように場所を変える仕組みができていました。
さて牛さんを離れて見ながらいろいろと説明を聞いていたら、いつの間にか大群に囲まれてしまい、、、触れ合うどころか逃げそうになってしまいました。自然に寄り添うどころか覚悟が足りないなと、正直なところ反省しました。
気を取り直しているといきなり草を抜いて「これは何だと思う?」とのご質問。
「クローバー・・・?」
よく見るクローバーだったのですが、これにはNitrogen(窒素)が含まれているよとのこと。窒素→窒素栄養=アミノ酸・タンパク質ということで「あー、プロテイン源ね」と軽く返してみた所、正解。褒めてもらいました。なるほどね、単なる草というだけでなくて、いろいろな種類の草を食べて、含まれる成分が違うからそれが異なる栄養源となる。食事でもいろいろなものを食べるというのと同じだなぁと。
(ちなみに畑を借りて有機栽培を数年行っている私は、休耕の畝にクローバーを蒔いているのですが、これで窒素を地中固定できていることを改めて認識しました。だから漉き込めばいい肥料となるのか、と。いまさらながら)
そのあとの帰り道で当日放牧されていない区画を見ると、通り道との境にしかクローバーは見当たらない。半分冗談込みで「どこにクローバーがあるんだ?」と聞くと、今は背が高い草に隠れているし、ピークは5~6月だからそもそも多くないとのお答え。なるほど季節性、だから乳のタンパク質量も春から夏にかけて多くなるのか、と妙に納得。
現代生活を送る我々は、常に製品は一定の品質を保つものと思い込んでいますが、自然は常に動き廻るものであり、まさに旬のものを食べるのが一番いいという事を感じた次第です。
考えてみれば牛さんも人間も同じ哺乳類。生物界全体では大差ない。ともに寄り添い、支え合いという伝統的な関係がうまく続くといいなと思いました。
乾游